Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme

Aozora Bunko

熱くさい呼吸、それを避けようともがけばぐらぐらっと地がゆれる。とその瞬間……、意外にもヤンがわっと悲鳴をあげたのである。

ドドだ。犬歯を牙のようにむきだして、もの凄い唸り声をたて、唇はヤンを噛んだ血でまっ赤に染っている。憤怒のために、ドドは野性に立ち帰ったのである。切羽つまったヤンが拳銃をだそうとすると、その手にまたパッと跳びついた。それなり二人は、ひっ組んだまま地上を転がりはじめたのだ。

大柄な獣さえこない禁断の地響きに、とつぜん、足もとがごうと地鳴りを始めた。

と見る……ああ、なんという大凄観! とつぜん、目前一帯の地がずずっと陥ちはじめたのである。マヌエラは足もとを掬われてずでんと倒れたが、夢中で蔦にすがりつきほっと上をみると、今しも森が沈んでゆくのだ。梢が、一分一寸とじりじりと下るあいだから、まるで夢のなかのような褪せた鈍い外光が、ながい縞目をなしてさっと差しこんできたのである。森がしずむ! マヌエラは二人の格闘もわすれ、呆然とながめていた。

大地の亀裂が蜈蚣のような罅からだんだんに拡がるあいだから、吹きだした地下水がざあっと傾いだ方へながれてゆく。