Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme

Aozora Bunko

春になると醒めて、麝香牛を狩る。――そういう、冬眠の生理がエスキモーにあるのではないか」

彼は、その考えにひじょうな自信をもっていた。小さな極光が、ぶよぶようごく真赤な虹をあらわし、その核心からでる金色の輻射線が、氷罅のうえをキラキラっと流れてゆく。翌朝も、隊はいつもながらのように、氷を踏み踏み黙々と発っていったのである。やがて、十日ばかり経つと連嶺が切れ、一行は盆地のような氷原のなかに出た。と、朝餌をやろうとして檻の戸をあけたおのぶサンの手をかい潜って鯨狼がとび出した。

「来てよ、鯨狼がとび出ちゃったよオ」と、おのぶサンがあわててどなる間に、鰭でヨチヨチとゆきながら大分な距離になっている。一同が、網を片手に走りだそうとするとき、とつぜん、鯨狼が氷罅のなかに落ちたのだ。その縁にきて下をのぞき込んだとき、折竹の顔色がみるみる間に変ってゆく。

「オヤ、この氷罅のなかは、青い光じゃない。緑玉色をだすのは、海氷じゃないか」

普通陸地の氷罅は、内部が美麗な青い光に染まっている。しかしここは、陸上にもかかわらず緑玉色の鮮光、それは、まず海氷以外にはないことだ。で、試みに綱をさげると、その端がしっかりと湿ってくる。