Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme

Aozora Bunko

いまは、セルカークも妖かしに会ったような顔。

「なるほど、その想像洞のうえは、大沙漠帯ですね。それに、所々方々に油田が散らばっている」

「そうですよ。全部油脈は岩塩油田であるか、それでなければ、石灰岩層に入っています。おそらくその大盲谷はソ連領にも伸びているでしょう。ねえ、エンバの油井は岩塩油田でしょう。また、コーカサスのは石灰岩層にあります。とにかく、岩塩を溶かし、石灰岩を溶かし地下へ滴る石油が大盲谷をつくったといわれる」

ああ、大盲谷をうねくる、石油の大暗流。いかな名画工、いかな名小説家といえど、その光景を髣髴とすることはできないだろう。しかしそれは、ただ想像だけとするならまことに素晴らしいがと……暫く経つうちに半信半疑の色が、セルカークの顔を覆うてきたのだ。

「しかし、それは実際問題ではありませんね。ただ奇想であり、頭脳の遊戯であり……。お話だけはひじょうに面白いですが」

「では、イランの大塩沙漠を、どうお考えになる」

と折竹が突き進むようにいった。

「あすこの、踏みいるものを焼く、おそろしい熱気は。万物焼尽さずんば止まない、見えない魔焔は?」

“Dasht-I-Kavir”――そのおそろしい塩の沙漠はイラン国の首府、テヘランの東方二百マイルのところにある。