Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
白い大きな岩塩の壁が、三人の行手を塞いでしまったのだ。
じゃ、盲道だったのか――と、折竹もまっ蒼になった。ことに、セルカークの失望は甚だしく、油層も晦冥国もすべて全部のことが、いまは阿呆の一夕の夢になってしまったのである。
石油の湖水、それに泛ぶ女王ザチの画舫。なんて、馬鹿な夢を見続けていたもんだと、かえって折竹を恨めしげにみる始末。と、引き返すことになったその夜のことである。寝ている折竹のそばへ這うようにして、セルカークがそっと忍び寄ってきた。彼が、目を醒ますと慌てたらしく、
「君、君、何なんだよ。もう開口へ出るまでの、水がないんだ」
「全然か」
「いや、三人分のがない」
と言うセルカークの目がぎょろりと光る。なんだか、殺気のような寒々としたものが、この男の全身を覆うているのだ。おやッ、どうも様子が変らしい。こいつ、と思うと厭アな予感がして、
「じゃ、どのくらいあるね」
「一人分だ。俺だけは、生きて帰る」
とたんに、腰の拳銃をにぎった、セルカークの手に触れた。なにをする! と、突き飛ばされたセルカークはころころと転げ……オフシェンコに打衝ったらしく、あっと彼の声がする。