Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
そこには、暖水をこのむ大蟻が群れている。陰湿の、群葉のしたは湯気のような沙霧だ。
「さあ、足を踏んばって……、おいケティ、ケルミッシュ君に肩を貸してやれ」
「なんて、意気地がない。男ざかりが、泡アふっくらって可笑しくなるよ。おや、なんてえ滑っこい肌だろう」
この、疲れをしらない石人のような頑健さ。時々ケティは弱いケルミッシュの生杖になっていた。
しかし、そこからは一歩一歩がたかく、それまで栴檀のあいだに麝香鹿があそんでいた亜熱帯雲南が、一変して冬となる。揚子江の上流金沙江の大絶壁。じつに、雲をさく光峰からくらい深淵の河床にかけ、見事にも描くおそろしい直線。それが、一枚岩というか屏風岩といおうか、数千尺をきり下れる大絶壁の底を、わずかな苔経をさぐり腹這いながらゆくようなところがある。そこは、鳥も峡谷のくらさにあまり飛ばないところ……。そこを、やっと抜けでて西康省に入ればいよいよ崎嶇をかさねる西域夷蛮地帯の山々。
あるいは恒雪線にそい、あるいはすこし下って、一万フィートあたりの石南花帯をゆく。巨峰、鋸歯状の尾根が層雲をぬき、峡谷は濃霧にみち、電光がきらめく。