Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
湯のような雨……くらい潮が……ぽうっと燐光にひかる波頭をよせてくる。そして砂上の、ひいたあとは星月夜のようにうつくしい。だが座間は、どうしてカークとこんなところへ来たのかじぶんでも分らなかった。
「どうしたい、いやに悄んぼりして……。まさか、猫の死骸に念仏をいいにきたんじゃないだろうが」
カークは、いつもとちがって底気味悪さを湛えている座間を景気づけるように言った。すると、座間はいきなりふり向いて、
「おい、僕にドドを売っちゃくれまいか」
「えッ、ドドを売れって※(疑問符感嘆符、1-8-77)」カークも少からず驚いて、
「なんのためだ。僕の手から買ってどうするつもりだ」
思わず見上げる座間の眉宇間には、サッと一閃の殺伐の気がかすめてゆく。殺してやる! マヌエラがあの魔性のものに魅込まれたのでなければ、ああも奇怪な二重人格をあらわすわけはない。と、知らず識らず、この入江の腐肉の気にさそわれてきた座間である。
カークは早くも、それを悟ったと見え改まったような調子で、
「じゃ、その話を真剣にとるがね。すると、まず、売る売らないに先だって、決めておきたいことがある。