Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 101.713 Zeichen · 205 Bildschirme
マヌエラを背負い、ときどき樹にのぼっては木の実をとってくる。いま密林に抱かれ大自然に囁かれ、野性が沸然と蘇って来たのである。それをヤンが見て嘲るようにいった。
「こいつのためだ。こいつを、わざわざ故郷へ送りとどけるために、四人の人間がくたばろうとするんだ。おい獣、貴様、マヌエラさんというお嫁さんがいて嬉しいだろうぜ」
こうしてどこという当てもなく彷徨い続けるうちに、やがて日も暮れて第一夜を迎えた。カークは、危険な地上を避けて手頃な樹を選ぼうと思い、ひょいと頭上をみると、枝を結いつけたのが目に入った。ゴリラの巣だ。しかしゴリラは、一日いるだけでまたほかへ巣を作る習性がある。してみるとこのうえもない宿である。
第二日――。
一行全部ひどい下痢と不眠のなかで明けていった。湿林の瘴気がコレラのような症状を起させ、一夜の衰弱で目はくぼみ、四人はひょろひょろと抜け殻のように歩いてゆく。
全身泥まみれで髭はのび、マヌエラまで噎っとなるような異臭がする。そしてこの辺から、巨樹は死に絶え、寄生木だけの世界になってきた。これが、パナマ、スマトラと中央アフリカにしかない、ジャングルの大奇景なのである。