Japanische Klassiker mit Furigana
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じんがいまきょう
人外魔境
小栗 虫太郎
Lesen Sie 人外魔境 (じんがいまきょう) von 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.384 Zeichen · 42 Bildschirme
にでたのである。それまでは、プォルモサの密林ではアメリカ豹の難、草原へでればチャコ狼の大群。グァラニー印度人百名の人夫とともに、一行はいい加減へとへとになっていた。しかし、はじめて見る「蕨の切り株」の景観は……。
ただ渺茫涯しもない、一枚の泥地。藻や水草を覆うている一寸ほどの水。陰惨な死の色をしたこの沼地のうえには、まばらな細茅のなかから大蕨が、ぬっくと奇妙な拳をあげくらい空を撫でている。生物は、わずか数種の爬虫類がいるだけで、まったく、水掻きをつけ藻をかぶって現われる、水棲人の棲所というに適わしいのである。すると、ここへ来て五日目の夜。
陰気な、沼蛙の声がするだけの寂漠たる天地。天幕のそばの焚火をはさんで、カムポスと折竹が火酒をあおっている。生の細茅にやっと火が廻ったころ、折竹がいいだした。
「君は、ロイスさんにどんな気持でいるんだね」
「………………」
「そういう気配は、君がはじめてロイスさんをみた、その時から分っていたよ。惚れもしなけりゃ五十万ミルを棒に振ってまで、君がわざと負ける道理はないだろう」
「俺はまた、大将という人はサムライだろうと思ってたがね」