Japanische Klassiker mit Furigana
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しぐれがさ
人情武士道
山本 周五郎
Lesen Sie 人情武士道 (しぐれがさ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.700 Zeichen · 51 Bildschirme
それでなければ、もうあたし、……死ぬばかりです」
宗七は外向いたままで、
「私にはなんとも云えません」
と吐き出すように云った。
「なんとも云えません。……いて貰っちゃあ親方に申訳のないことになる、さっきも云ったように、宗七は仕事の他にはなにも考えたくないんだし……」
「宗さん、いいと云って。居てもいいって」
宗七は黙って戸棚を明けた。
その後姿へ、すがりつくようにそっと合掌したお雪は、涙を拭きながら膳拵えにかかった。
すると間もなく、
「お雪さん」
と宗七が振返って呼んだ。
「貴女はこの戸棚の中の物に手をつけましたね」
「あら、忘れていましたわ」
お雪は急いで近寄りながら、
「さっき杉辰さんが見えましてね、なにか彫った物があったら見せて貰いたいというもんですから、お断りしなくては悪いと思ったんですけれど、そこに蛙の木彫があったのでお見せしたんです」
「それを、それをどうしました」
「杉辰さんは大喜びで、こんなすばらしい物をやっていたとは知らなかった、これで名人宗七の呼名がまた変ると、一両置いて持っていらっしゃいました」
「あの蛙、あれを売った、あれを!」
宗七はぶるぶると身を震わせ、