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Japanische Klassiker mit Furigana

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しぐれがさ

人情武士道

山本 周五郎

Lesen Sie 人情武士道 (しぐれがさ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.700 Zeichen · 51 Bildschirme

Aozora Bunko

杉田屋の店先に立ったまま宗七は、もどかしそうに同じことを言い続けた。……晩酌でもしていたらしい辰五郎は間もなく歯をせせりながら出て来たが、

「おいでなさい、何か急用でも」

「旦那、さっきの品、あれを返して頂きたいんです。お預りしたお金は此処へ持って来ました」

「なんです、いきなりそんな……」

「あれはまだ試し彫りで、とても人様にお見せ出来るような物じゃあないんです。留守の者が知らずに出したんですから、どうか返して下さい」

「そいつぁ弱ったなあ」

辰五郎は急いで坐り直した。

「実あ、あれから帰りに堀田様へお寄り申してね、堀田の殿様はまえっから宗七さんの作がお好きで集めていらっしゃるもんだから、ついお見せ申したところが、大変なお気に入りで、即金十両でお売り申してしまったんだが」

「売った、十両で……堀田様に」

「宗七さんの気性で、気に入らねえ作を手放すのは厭だろうが、どうだろう、殿様はすっかり御意に召しているんだから、今度だけ眼をつむって貰えまいか……金ならもう少し割戻しをする積りでいるが……」

「堀田様のお屋敷を教えておくんなさい」

「お屋敷って、それを訊いておまえさんどうしようというんだね」