Japanische Klassiker mit Furigana
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にんげんひょう
人間豹
江戸川 乱歩
Lesen Sie 人間豹 (にんげんひょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.989 Zeichen · 311 Bildschirme
「言ったよ。言ったんだけど、おまわりが大銀杏を探しに行ったときには、もうなんにもいやあしなかったよ」
ルンペンも、新聞売りの小僧も、中学生も、青年団員も、商店の御隠居も、通りがかりの会社員も一つになって、恐ろしいポスターの主人公について論じ合った。
床屋でも、銭湯でも、映画館の見物席でも、人さえ寄れば、「人間豹」の噂であった。さまざまの怪談が創作され、それが尾ひれをつけてひろがって行った。
どこかのおかみさんが、共同便所のドアをひらくと、その中にまっ青な眼の人間豹がしゃがんでいたという怪談もあった。
真夜中に、仁王門の高欄の上から、まるで石川五右衛門みたいに、人間豹が頬杖をついて、仲見世の通りを見おろしていたという怪談もあった。
毎夜観音さまへお詣りする若い芸者が、友だちと二人づれで、仁王門を通りすぎたとき、その一人がなにげなく門の天井を見上げたのだが、すると、例の奉納の大提燈の上に、なんだか人間の首らしいものが、まるで獄門みたいに、ヒョイと覗いているのが、仲見世の遠明かりに、ぼんやり見えていたという。
一人が天井を見上げて立ち止まったので、もう一人もいっしょになって、その方を見ると、確かに人の首、しかも両眼が燐のように青く燃えていた。