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Japanische Klassiker mit Furigana

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にんげんひょう

人間豹

江戸川 乱歩

Lesen Sie 人間豹 (にんげんひょう) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 155.989 Zeichen · 311 Bildschirme

Aozora Bunko

明智は足を早めて虎男のチンドン屋に近づいていった。すると不思議なことには、相手の虎男は、何か明智をさそいでもするようなそぶりで、虎の頭で振り返り振り返り、裏通りへと曲がって行く。

明智は一と飛びでその角に達した。逃げようとて逃がすものかと、勢い込んで裏通りへ踏み出すと、そこに、虎男がボンヤリと立ち止まっていた。

「おい、ちょっと君、その虎の被りものを取って、君の顔を見せてくれないか」

明智はチンドン屋に近寄ると、いきなり呼びかけた。

虎に化けた男は、少しのあいだ、その意味がわからなかったらしく、だまっていたが、やっとして、

「エヘヘヘヘヘ、わたしの顔がごらんになりたいっておっしゃるので?」

と追従笑いをしながら、至極お手軽に張り子の被りものをヒョイと持ち上げて見せた。

その下から現われた顔は、あの恐ろしい「人間豹」であったか。いやいや、そうではなかった。明智は思い違いの恥かしさに冷汗を流した。そいつの顔は恐ろしいどころか、実に突拍子もない滑稽なものであった。

黒々とした毬栗頭の下に五十年配に見える骨張った黒い顔、西郷さんの肖像画みたいなまっ黒な太い眉、そして、鼻の下には、何々将軍とでも言いたい、実に立派やかな太い八の字ひげが、両方の耳の辺まで、二た振りの大だんびらのように、物々しくはね上がっていた。