Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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せんにん

仙人

芥川 竜之介

Lesen Sie 仙人 (せんにん) von Akutagawa Ryūnosuke (芥川 竜之介) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.350 Zeichen · 11 Bildschirme

Aozora Bunko

上

いつごろの話だか、わからない。北支那の市から市を渡って歩く野天の見世物師に、李小二と云う男があった。鼠に芝居をさせるのを商売にしている男である。鼠を入れて置く嚢が一つ、衣装や仮面をしまって置く笥が一つ、それから、舞台の役をする小さな屋台のような物が一つ――そのほかには、何も持っていない。

天気がいいと、四つ辻の人通りの多い所に立って、まず、その屋台のような物を肩へのせる、それから、鼓板を叩いて、人よせに、謡を唱う。物見高い街中の事だから、大人でも子供でも、それを聞いて、足を止めない者はほとんどない。さて、まわりに人の墻が出来ると、李は嚢の中から鼠を一匹出して、それに衣装を着せたり、仮面をかぶらせたりして、屋台の鬼門道から、場へ上らせてやる。鼠は慣れていると見えて、ちょこちょこ、舞台の上を歩きながら、絹糸のように光沢のある尻尾を、二三度ものものしく動かして、ちょいと後足だけで立って見せる。更紗の衣裳の下から見える前足の蹠がうす赤い。――この鼠が、これから雑劇の所謂楔子を演じようと云う役者なのである。

すると、見物の方では、子供だと、始から手を拍って、面白がるが、大人は、容易に感心したような顔を見せない。