Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しゃぼてんのはな

仙人掌の花

山本 禾太郎

Lesen Sie 仙人掌の花 (しゃぼてんのはな) von 山本 禾太郎 (やまもとのぎたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.282 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

「おかえり」

「おかえりなさいまし」

兄の着替えを手伝ながら姉は、

「明日、閑さんと私を、伊切の浜へ連れて行って下さいね」

「それもいいな、しかしもう日中は少し暑くはないかな……。それは、そうと閑枝、お前弥生軒で写真を写したそうだね」

「ええ、一寸今日、あの前を通ると写して見たくなって……」

「今日電車の中で、弥生軒のおやじに会ったら、『お嬢さんを撮らして貰いました』と云って喜んでいたよ、しかし此辺の写真屋は、とても下手だからなア」

食事のために、兄夫婦が下へ下りてゆくと、閑枝は、机の下から手紙を出して見た。

なんでもない手紙だが、閑枝の自殺の機会を奪ってしまった。読みかえして見ると、その手紙からは、病苦になやむものの、淋しさは感ぜられるが、どこかにまた、生のよろこびを歌っているようにも思われた。しかしそれよりも、此手紙の主が何人であろうか、と、云う好奇心が第一に起るのであった。

(二)

其あくる日は、兄夫婦と共に、伊切の浜へ行って見た、京都と云う海のない都会に育って、海と云えば大阪の築港より知らぬ閑枝に取っては、日本海に向って立った感じは、あまりに雄大すぎた。