Japanische Klassiker mit Furigana
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えせものがたり
似而非物語
山本 周五郎
Lesen Sie 似而非物語 (えせものがたり) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.817 Zeichen · 64 Bildschirme
勤勉でなければ生きてゆけなかった、それにも拘らず杢助は怠け者であった。
彼が七歳のときのことであるが、父親の百助は習慣にしたがって、初めて彼を「出作り」につれてでかけた。その場所はかなり遠かった、途中で二た晩泊るほどの距離にあったが、五日めの午後になると、杢助はひとりで家へ帰って来た。留守をしていた母親は歯の根のゆるむほど驚いた。彼女は機からとびおりて、泥と垢にまみれたわが子を抱き緊め、おろおろしながら、どうして帰って来たのか、もしやはぐれでもしたのかと問い糺した。すると子供は大きな欠伸をして、ぐったりとそこへ横になった。それからさもうるさげに、こう答えた。
――だって、つまらねえもの。
杢助はなにものにも興味をもたなかった。物をねだるということがないし、友達と遊びさえしなかった。飯を食べるとすぐ寝ころんでしまうか、家の前の石垣の上にある石地蔵のところで、草の上へ足を投げだしたまま、下の道を往来する人や馬を、ぼんやりと飽きずに眺めているかした。そして、ときにこんなふうな独り言を云った。
――なにが面白くってあんなに毎日往ったり来たりするだかよ、おんなじように往ったり来たりよ、つまらねえ。