Japanische Klassiker mit Furigana
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さたけのはらへだいぶつをこしらえたはなし
佐竹の原へ大仏をこしらえたはなし
高村 光雲
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N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.666 Zeichen · 16 Bildschirme
丁度、今の西郷さんのある処が山王山で、そこから見渡すと、右へ筋違いにその大仏が見えました。重なり合った町家の屋根から、ずっと空へ抜けて胸から以上出ております。空へ白い雲が掛って、笊を植えた大きな頭がぬうと聳えている形はなんというていいか甚だ不思議なもの……しかし、立派な大仏の形が悠然と空中へ浮いているところは甚だ雄大……これが上塗りが出来たら更に見直すであろうと、一層仕事を急いで、どうやら下地は出来ましたので、いよいよ、左官与三郎が塗り上げましたが、青銅の味を出すようにという注文でありますから、黒ッぽい銅色に塗り上げると、大空の色とよく調和して、天気のよい時などは一見銅像のようでなかなか立派でありました(この大仏に使った材料は竹と丸太と小舞貫と四分板、それから漆喰だけです)。
「どうも素晴らしいものが出来ましたね。えらいものをこしらえたもんですね」
など見物人は空を仰いでびっくりしております。正味は四丈八尺ですが、吹聴は五丈八尺という口上、一丈だけさばを読んで奈良の大仏と同格にしてしまいました。そこで口上看板を仮名垣魯文先生に頼み、立派な枠をつけ、花を周囲に飾って高く掲げました。