Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりとかぜとゆめ
光と風と夢
Lesen Sie 光と風と夢 (ひかりとかぜとゆめ) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.032 Zeichen · 158 Bildschirme
その時私は屡々死を思うた。しかし、私は其の時迄に、まだ、我が生の記念碑ともいうべき作品を書いていなかった。それを書かない中は、何としても死なれない。それは、自分を励まし自分を支えて来て呉れた貴い友人達(私は肉親よりも先ず友人達のことを考えた。)への忘恩でもある。それ故、私は、食事にも事欠くような日々の中で、歯を喰縛りながら、「パヴィリヨン・オン・ザ・リンクス」を書いたのだ。所が、今は、どうだ。既に私は、自分に出来るだけの仕事を果して了ったのではないか。それが記念碑として優れたものか、どうかは別として、私は、兎に角書けるだけのものを書きつくしたのではないか。無理に、――この執拗な咳と喘鳴と、関節の疼痛と、喀血と、疲労との中で――生を引延ばすべき理由が何処にあるのだ。病気が行為への希求を絶って以来、人生とは、私にとって、文学でしかなくなった。文学を創ること。それは、歓びでもなく苦しみでもなく、それは、それとより言いようのないものである。従って、私の生活は幸福でも不幸でもなかった。私は蚕であった。蚕が、自らの幸、不幸に拘わらず、繭を結ばずにいられないように、私は、言葉の糸を以て物語の繭を結んだだけのことだ。