Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりとかぜとゆめ
光と風と夢
Lesen Sie 光と風と夢 (ひかりとかぜとゆめ) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.032 Zeichen · 158 Bildschirme
乾いた川筋を上って行く中に、谷が狭くなり、所々に洞があったりして、横倒しになった木の下を屈まずにくぐって歩けた。
北へ鋭く曲る。水の音が聞えた。暫くして、峙つ岩壁にぶつかる。水が其の壁面を簾のように浅く流れ下っている。其の水は直ぐ地下に潜って見えなくなって了う。岩壁は攀登れそうもないので、木を伝って横の堤に上る。青臭い草の匂がむんむんして、暑い。ミモザの花。羊歯類の触手。身体中を脈搏が烈しく打つ。途端に何か音がしたように思って耳をすます。確かに水車の廻るような音がした。それも、巨大な水車が直ぐ足許でゴーッと鳴った様な、或いは、遠雷の様な音が、二三回。そして、その音が強くなる度に、静かな山全体が揺れるように感じた。地震だ。
又、水路に沿って行く。今度は水が多い。恐ろしく冷たく澄んだ水。夾竹桃、枸櫞樹、たこの木、オレンジ。其等の樹々の円天井の下を暫く行くと、また水が無くなる。地下の熔岩の洞穴の廊下に潜り込むのだ。私は其の廊下の上を歩く。何時迄行っても、樹々に埋れた井戸の底から仲々抜出られぬ。余程行ってから、漸く繁みが浅くなり、空が葉の間から透けて見えるようになった。