Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりとかぜとゆめ
光と風と夢
Lesen Sie 光と風と夢 (ひかりとかぜとゆめ) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.032 Zeichen · 158 Bildschirme
ヴェランダに立っていたら、ふと、或る異常な(一見根拠のない)感情が私を通って流れた。私は文字通り、よろめいた。それから、やっと説明がついた。私は、スコットランド的な雰囲気とスコットランド的な精神や肉体の状態を見出したからだと悟った。平生のサモアとは似てもつかない・この冷々した・湿っぽい・鉛色の風景が、私を何時しか、そんな状態に変えていたのだ。ハイランドの小舎。泥炭の煙。濡れた着物。ウイスキイ。鱒の躍る渦巻く小川。今此処から聞えるヴァイトゥリンガの水音までが、ハイランドの急流のそれの様な気がして来る。自分は何の為に故郷を飛出して、こんな所迄流れて来たのか? 胸を締めつけられる様な思慕を以て遠くからそれを思出すために、か? ひょいと、何の関係もない・妙な疑念が湧いた。自分は今迄何か良き仕事を此の地上に残したか? と。之は怪しいものだ。何故又私は、そんな事を知りたいと望むのか? ほんの僅かの時が経てば、私も、英国も、英語も、わが子孫の骨も、みんな記憶から消えて了うだろうに。しかも――それでも人間は、ほんの暫しの間でも人々の心に自分の姿を留めて置きたいと考える。