Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
乙女はまたも※(「藹」の「言」に代えて「月」、第3水準1-91-26)たけた顔を袖へ埋めて泣くのであった。
「かえすがえすも不幸な身の上、はてこれは困ったことだ」頼正はその眼を顰めたが、「ところで誘拐の人買いは今どこに何をしておるぞ?」
「どこにどうしておりますやら、和田峠とやら申す山で、ようやく人買いの眼を眩ませ、夢中でここまで逃げては来ましたが、知人はなし蓄えもなし、うろうろ徘徊っておりますうちには乞食非人に堕ちようとも知れず、また恐ろしい人買いなどに捕えられないものでもなし、それより綺麗なこの湖水へいっそ身を投げ死んだなら、黄泉の実の母様にお目にかかることも出来ようかと……」
「それでここで泣いていたのか?」
「はい」と云って身を顫わせる。
月は益※(二の字点、1-2-22)冴え返って乙女の全身は透通るかとばかり、蒼白い光に煙っている。その肩の辺に縺れかかった崩れた髪の乱らがましさ、顔を隠した袖を抜けてクッキリと白い富士額、腰細く丈高く、艶と凄とを備えた風情には、人を悩ますものがある。二十一歳の今日まで無数の美女に侍かれながら、人を恋したことのない武道好みの頼正も、この時はじめて胸苦しい血の湧く思いをしたのである。