Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
「そうしてそちの名は何んと云うぞ?」
「はい、水藻と申します」
「水藻、水藻、しおらしい名だ。これからそちはどうする気だな?」
「はい、どうしたらよろしいやら、いっそやっぱり湖水の底へ……どうぞ死なしてくださりませ! どうぞ死なしてくださりませ!」物狂わしく身をもがく。
「この頼正がある限りは決してそちは死なしはせぬ。何故そのように死にたいぞ?」
「憐れな身の上でございますゆえ……」
「この頼正がある限りはお前は不幸に沈ませては置かぬ。それともそちは私が嫌いか?」
云い云い肩へ手を置いた。水藻はそれを避けようともしない。堅く身を縮めるばかりである。
「返辞のないは厭と見える」
水藻は無言で首を振る。
「それともそちは恥ずかしいか?」
乙女は黙って頷いた。
「まだそちは死にたいか?」
「死ぬのが厭になりました」
「楽しく二人で生きようではないか」
水藻は袖から顔を上げたが涙に濡れた星のような眼が、この時かすかに微笑んだ。
「おお笑ったな。そうなくてはならぬ。私も寂しい身の上だ。不足のない身分ながら、いつも寂しく日を送って来た。だがこれからは慰められよう。私は事業を恋と換えた。