Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme

Aozora Bunko

一髪の間に突き出した槍! したたか鳩尾を貫いた。

しかし久田は倒れなかった。

両手を掛けて槍の柄をムズとばかり握ったものである。

「……呪詛われておれ窩人の一味! お前には安穏はあるまいぞよ! お前は永久死ぬことは出来ぬ! お前は永久年を取らぬ! 水狐族の呪詛妾の呪詛! 味わえよ味わえよ味わえよ!」

こう妖婆は叫んだが、それと一緒に息絶えた。

初めてホッとした葉之助は、昏倒している頼正を片手を廻して背中に負い、片手で血まみれの槍を突き、階段を下りて庭へ出た。

部落は幸いにも寝静まっている。これほどの騒動も知らないと見える。

で、葉之助は静々と水狐族の部落を引き上げて行く。

部落を抜け田圃へ出で湖水に添って引き上げて行く。

妖婆の呪詛の言葉など、彼にとっては何んでもなかった。若殿頼正を救ったこと、禍いの根を断ったこと、堕ちた名誉を恢復したこと、これらが彼には嬉しかった。

こうして彼はその夜の暁方、高島城の大手の門へ、血まみれの姿を現わした。

怨念復讐の巻

一

鏡葉之助の槍先に久田の姥が退治られて以来、諏訪家の若殿頼正は、メキメキと元気を恢復した。