Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
使命を果たした葉之助は、非常な面目を施した。彼の武勇は諏訪一円、武士も町人も賞讃した。彼に賜わった諏訪家の進物は、馬五頭でも運び切れなかった。
いよいよ諏訪家に暇を告げ、彼は高遠へ帰ることになった。諏訪家では一流の人物をして、彼を高遠まで送らせた。
さて高遠へ着いて見ると、彼の功名は注進によって既に一般に知れ渡っていた。だから大変な歓迎であった。
いかに阿呆を装っても、もう誰一人葉之助を愚か者とは思わなかった。彼は高遠一藩の者から、偶像とされ亀鑑とされた。
「葉之助様がお帰りなされたそうで」
「おお、お帰りなされたそうだで」
「大変にご功名をなされましたそうで」
「そういうお噂だ。結構なことだ」
「お偉いお方でございますのね」
「まず高遠第一であろうな」
「あの、それに私達には、ご恩人でございますわ」
「そうともそうとも、恩人だとも」
「あのお方がおいでくだされて以来、妖怪が出なくなりましたのね」
「おおそうだ、有難いことにな」
「お礼申さねばなりませんわ」
「私もとうからそう思っているのさ」
「どうしたらご恩が返されましょう」
「さあ、そいつが考えものだて」
「まさかお金も差し上げられず……」