Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
「弓之進殿は悪いことを書いた」やがて北山はこう云った。
「それはまた何故でございましょう?」葉之助は訝しそうに訊いた。
「何故と云ってそうではないか。しかし……」
と云って北山はまたそこで考え込んだが、
「そこがあの仁のよいところかも知れぬ。いつまでもそなたを瞞して置くことが、あの仁には苦痛だったのであろう」
「私は誰の子でございましょう?」
「それはこれにも書いてある通り、私にも解っていないのだ。強いて云うなら山の子だ」
「え、山の子とおっしゃいますと?」
「山の子といえば山の子だ、他に別に云いようもない。が、順を追って話すことにしよう。……弓之進殿にはその時代葉之助という子供があった」
「ハハアさようでございますか」
「ところが病気で早逝された。その臨終の時であるが、『代りが来るのだ、代りが来るのだ、次に来る者はさらに偉い』と、こう叫んだということだ」
「不思議な言葉でございますな」
「ある日私と弓之進殿と、鉢伏山へ山遊びに行った、おりから秋の真っ盛りで全山の紅葉は燃え立つばかり、実に立派な眺めであったが、突然一頭の大熊が谷を渡って駈け上って来た。するとその熊のすぐ後から一人の子供が走って来た。