Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
「で、白粉の特性は?」
「刺戟剤でございます。まず、しばらくお待ちください。客があるようでございます。……誰か裏門を叩いております。……男奴が潜り戸をあけました。……や、紋兵衛でございます、大鳥井紋兵衛が参りました。……これはうっちゃっては置けません。……ちょっと様子をうかがって来ます。……」
前田一学は立ち去ったらしい。
後はふたたび静かになった。
葉之助はだんだん苦しくなった。
湿気が体へ滲み通った。
呼吸もだんだん苦しくなった。ひどく衰弱を感じて来た。
次第に眠気を催して来た。
一学は帰って来なかった。
「眠ってはいけない、眠ってはいけない」
こう思いながらウツラウツラした。
これは恐ろしい眠りであった。ふたたび覚めない眠りであった。眠ったが最後葉之助は、生き返ることは出来ないだろう。
はたして彼の運命は?
ちょうど同じ夜のことであった。
神田の諸人宿の奥まった部屋に、天野北山は坐っていた。
薬箱が置いてあった。
アルコールランプが置いてあった。
試験管が置いてあった。
そうして彼は蘭語の医書を、むずかしい顔をして読んでいた。
そこには次のように書いてあった。