Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme

Aozora Bunko

葉之助はジリジリした。

「間もなく寝静まるでございましょう、もう少々お待ちくだされ」

「それにしても前田氏には、どうしてこんな処におられるな」

「玄卿の秘密を発くため、飯焚きとなって住み込んだのでござる」

「で、秘密はわかりましたかな?」

「さよう、おおかたはわかりました」

「それでは白粉の性質も?」

「さよう、おおかたは突き止めてござる」

「さようでござるかそれはお手柄。で、いったい何んでござるな?」

「茴香から製した薬品でござる」

「ううむ、なるほど、茴香のな。やはり毒薬でござろうな?」

「さよう、さよう、毒薬でござる」

「おおそれでは金一郎様には、毒殺されたのでございますな」

「ところが、そうではございません」

「そうではないとな? これは不思議?」

「茴香剤は毒薬とは云え、後に痕跡を残します。……しかるに若殿の死骸には、なんの痕跡もなかったそうで」

「さようさよう、痕跡がなかった。……だが、毒殺でないとすると……」

「全く不思議でございます」

「白粉の性質が解っても、それでは一向仕方がないな」

「だが前後の事情から見て、茴香剤の白粉が、金一郎様殺害に、関係のあることはたしかにございます」