Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
「妾の従姉兄に当たりますの」
「それじゃ部落の人ですね」さも嘲けった様子をして、
「へ、熊猪のお仲間か! ところで先日の話の続きを今日はお話ししましょうかな」
「どうぞ」
と山吹は乗り出して来たがもうその眼は恍惚りとなり胸をワクワクさせているらしい。
「それジワジワとおいでなすったぞ。この大江戸の話ばかりが資金いらずの資金というものさ。田舎の女を誑すにはこれに上越すものはないて」
――多四郎はこんなことを思いながら上唇をペロリとなめ、
「……何が美しいと云ったところで江戸の祭礼に敵うものはまず他にはありませんな。揃いの衣裳。山車屋台。芸妓の手古舞い。笛太鼓。ワイショワイショワイショワイショと樽天神を担ぎ廻ります。それはたいした景気でさあね。……大名行列もふんだんに見られ、河開きにはポンポンと幾千の花火が揚がるんですよ。それより何より面白いのは歌舞伎狂言物真似でしてね。女役、実悪、半道なんて、各自役所が決まっておりましてな、泣かせたり笑わせたり致しやす。――春の花見! これがまた大変だ!」
八
「え、大変とおっしゃると?」
山吹は顔を上気させ眼をうるませて聞き惚れていたが吃驚したようにこう云った。