Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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やつがたけのまじん

八ヶ嶽の魔神

国枝 史郎

Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme

Aozora Bunko

北山はその前で足を止めた。

それから蛇を観察した。

「ねえ、若衆、綺麗な蛇だね」

北山は若者へ話しかけた。

「綺麗な蛇でございますな。だが、大変な毒蛇だそうで」若者は恐そうに檻を覗いた。

「何んという蛇だか知っているかね」

「山男達が云っていました。信州の国は八ヶ嶽、そこだけに住んでいる宗介蛇だってね」

「宗介蛇とは面白いな」北山はちょっと微笑した。

「蘭語でいうとエロキロスというのだ」

「へえ、エロキロス、変な名ですなあ」

「蛇は六匹いるようだね」

「昔は十匹おりましたが、今じゃあ六匹しかおりません。山男達の話によると、三匹がところ、盗まれたそうで」

「十匹で三匹盗まれりゃあ、後七匹いる筈だが、ここには六匹しかいないじゃあないか。後の一匹はどうしたね」

「ああ後の一匹ですか、さっき人が来て買って行きました」

「え?」

と北山は眼を見張った、「ふうむ、この蛇をな、買って行ったんだな」「へえさようでございますよ」「どんな様子の人間だったな?」「五十恰好の商人風、江戸の人じゃあありませんな。贅沢な様子をしていましたよ。田舎の物持ちと云った風で」

北山は黙って考え込んだ。腹の中で呟いた。