Japanische Klassiker mit Furigana
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やつがたけのまじん
八ヶ嶽の魔神
国枝 史郎
Lesen Sie 八ヶ嶽の魔神 (やつがたけのまじん) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 160.664 Zeichen · 323 Bildschirme
「今夜が危険だ。うっちゃっては置けない」で彼は卒然と云った。「私にも蛇を売ってくれ」
「おやおやあなたもご入用なので」
「で、一匹幾らかな」
「さっきのお方は一匹一両で……」
「よし、私も一両で買おう」
北山は紙入れを取り出した。小判六枚を掌へ載せた。
「さあ六両、受け取ってくれ」
「へえ、六両? どうしたので?」
「六匹みんな買い取るのさ」
「そいつあどうも困りましたねえ」
若者は小判と北山の顔とをしばらくの間見比べていた。
「どうして困るな? 困る筈はあるまい」
しかし若者は頭をかいた。
「どうもね、旦那困りますので。だってそうじゃありませんか、この白蛇は山男の物で、私の物じゃあございません」
「では何故一匹売ったんだ?」北山は叱るように声を強めた。「一匹も六匹も同じじゃあないか」
「いいえ、そんな事はありません。一匹や二匹なら逃げたと云っても、云い訳が立つじゃあありませんか」
「六枚の小判が欲しくないそうな」北山は小判を掌の上で鳴らした。「……死んだと云えばいいじゃないか」
「でも死骸がなかったひには」尚若者は躊躇した。しかしその眼は貪慾らしく、小判の上に注がれた。
「いや死骸ならくれてやるよ」