Japanische Klassiker mit Furigana
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こうえんのはなとどくが
公園の花と毒蛾
小川 未明
Lesen Sie 公園の花と毒蛾 (こうえんのはなとどくが) von 小川 未明 (おがわみめい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 18.574 Zeichen · 38 Bildschirme
とこなつの花は、いつまでも、男が側のベンチから去らずに、それに腰をかけて考え込んでいるのを見ました。花は、小さなくびをかしげて、男が、「黒い百合の花が、咲いていはしないか?」といったのを聞いて、高原の景色を思い出しました。とこなつの花は、かつてあの高原にいたけれど、黒い百合の花を見たことがなかったので、脊伸びをして、その花を見ようとしました。けれど、地面にはっている真紅の花には、あちらの百合圃に、たった一本まじっている、黒い百合の花が見えなかったのでした。
そのうちに、日が暮れかかった。木々のこずえが、さやさやと鳴りはじめて、空の色は、青黒く見え、燈火の光がきらめき、草の葉や、木のこずえに反射しているのが見られたのです。男は、ベンチから起ち上がりました。
「黒い百合の花が咲いた時分に、またやってこよう。こちらの空には、どうして、星の光が、こう少ないのか? 故郷にいる時分は、毎夜、降るように、きらきらと輝く星が見られたのに……。」と、立ち去るときに男はいいました。
とこなつの花は、なるほど、男のいうように、どうしてこっちにきてから星の光が見えないかと気がついて、怪しみました。