Japanische Klassiker mit Furigana
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にとせろうじん
再度生老人
佐左木 俊郎
Lesen Sie 再度生老人 (にとせろうじん) von 佐左木 俊郎 (ささきとしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.770 Zeichen · 14 Bildschirme
私には、今度は、その穴が不思議になった。女が、戦争に行って、鉄砲でうたれたのでもあるまいのに?…
「お父つあん。あのおばさまの、頬の穴は、なにしたのだべ?」
私は彼女の帰った後で、父に訊いた。
「あれか? あれはな、あのおばさまは、黙っていられねえ性分だとや。そいつを、いつだか、黙ってねけなんねえごとがあって、饒舌ったくって饒舌ったくってなんねえのを、耐えてこれえていだら、話がたまって、頬が打裂けてしまったのだとや。」
みんなは笑った。私も父が私を調戯ったことだけは判ったが、貼り紙おばが、焼和尚から引き受けた梅毒のために、そうなったことを知ったのは、それから暫くの後のことだ。
焼和尚は、女を好きなばかりでなく、絵画や彫刻や陶器類が好きで、彫り物師とか画家とかいえば、どんな身窄らしい姿をした、乞食のような漂泊の者でも、きっと、幾日でも泊めてやったものだ。そしてその代償として、彫刻師には彫刻をしてもらい、画家には絵を描いてもらったのである。
或る晩秋の夕暮れに、一人の年寄りが、寺を頼寄って来た。
その日は、ひどく冷たい北風が吹き荒んで、公孫樹の落ち葉や欅の落ち葉が、雀の群れかなんぞのように、高く高く吹き上げられていた。