Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
Lesen Sie 出家とその弟子 (しゅっけとそのでし) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.812 Zeichen · 248 Bildschirme
かえで 私はなんだか心細くなるわ。
仲居 (登場)かえでさん、お花、そのままですぐ来てください。
かえで あゝ、いやだ。今夜だけは出たくない。お座敷などへ出るような気分ではないわ。
浅香 でも辛抱して出ていらっしゃい。さっきの今ですから出ないとおかあさんがそれこそたいへんよ。
かえで しょうがないねえ。(鏡台の前にすわり、ちょっと顔をなおしてすぐ立ち上がる)ではちょっと。
浅香 (火鉢のそばにもどる)お早くお帰り。
かえで退場。しばらく沈黙。
浅香 (火箸で灰をならしつつ)あゝ、火もいつのまにやら消えたそうな。(ため息をつく)私の心はちょうどこの灰のようなものだ。もう若い情熱もなくなった。かえでさんのような恋はとてもできない。自分の不幸を泣く涙もかれて来た。訴える心もだんだん無くなって行く。なんの望みもない。と言って死ぬる事もできない。ただ習慣でなんの気乗りもなしにして来た事をつづけて行くだけだ。何が残っている、何が? ただ苦痛を忍び受ける心と、老いと死と、そしてそのさきは……あゝ何もわからない。あんまりさびしすぎる。(つきふす、泣く、間、顔をあげてあたりをぼんやり見まわす)たれかがたすけてくれそうなものだ。