Japanische Klassiker mit Furigana
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しゅっけとそのでし
出家とその弟子
倉田 百三
Lesen Sie 出家とその弟子 (しゅっけとそのでし) von 倉田 百三 (くらたひゃくぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 121.812 Zeichen · 248 Bildschirme
そして鶏の頭を、背のところにおしつけて、片手で腹をしめつけて、足を踏まえて、しばらくじッとしていたのだ。鶏は執念深くて、お尻で呼吸をするのだからな。もう参ったろうと思って手を放したところが、その毛のぬけたもう鶏とは見えないようなやつが、一、二間も駆け出すのだよ。
お兼 もうよしてください。ほんとに恐ろしい。
左衛門 それからが気味が悪いのだよ。わしはあわてて、その鶏を捕まえて、今度は鶏の首を打ち切ろうと思って地べたに踏みつけて庖丁を持って今にも切ろうとしたのだよ。鶏は変な目つきをしてわしを見た。そして訴えるような、か弱い声でしきりに鳴くのだ。その時急に夢の中でわしがその鶏になってるんだよ。わしは恐ろしくて声を限り泣いた。「鶏つぶし」は冷然としてわしの顔を見おろしていた。わしはもう鳴く力も弱くなって、哀れな訴えるような声を立てていた。するとわしはなんだかこのとおりの事がいつか前に一度あったような気がするのだよ。はて聞き覚えのある声ではあるわいと思った。その時今まで長く忘れてしまっていた一つの光景が不思議なほどはっきりとその鶏になってるわしの記憶によみがえって来たのだ。