Japanische Klassiker mit Furigana
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はじめてちちぶにはいったころ
初めて秩父に入った頃
木暮 理太郎
Lesen Sie 初めて秩父に入った頃 (はじめてちちぶにはいったころ) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.522 Zeichen · 5 Bildschirme
陸地測量部の輯製二十万分一図が世にも頼み甲斐なきものであることは、苦い経験を嘗めたことのある人は誰も知っている。されど之に代る一般向きの良地図がないので止むを得ず使用していた。今其甲府図幅が手許にないのでうろ覚えではあるが、金峰山は二千五百何米と記入してあった。其他の山は多く標高を欠き、唯雁坂峠や大洞山(飛竜山)及雲取山などは、孰れも二千米以上であったように思う。それで行くならば秩父がよかろうということになった、私などは小童の頃から朝夕遠く南方の天に望んでいた桔梗色の長大な秩父山脈、それをこれから存分に歩き廻るのかと思うと身内がぞくぞくした。斯くして私どもの秩父登山が始められたのであった。
秩父も今は昔と比較にならぬ程便利になっている、けれども其頃の秩父鉄道は波久礼が終点だったので、午後九時から徹夜で栃本まで歩いたことがあった。それが大正元年頃に国神まで通じ、同三年に大宮に達した。それでも一日で栃本へ行くには可なり強行しなければならない、幸に中央線が甲府まで延長されていたので、奥秩父へ入るには今と同じ様に塩山か甲府からするのが便利であった。勿論馬でも雇わなければ乗物などはある筈がなかった。