Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はつたびのだいぼさつれんれい

初旅の大菩薩連嶺

木暮 理太郎

Lesen Sie 初旅の大菩薩連嶺 (はつたびのだいぼさつれんれい) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.508 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

曇っていて眺望はないが、一時間ばかり焚火をして休憩した。

三角点から北に向っては、予想していたように立派な切明けがある。但し倒木は多かった。ふくよかな苔に埋もれた黒木立の中を辿る足触りの心地よさ、土とも苔とも木ともつかぬ森林の香の漂うているなごやかな雰囲気に体を撫でられていると、いつもながら気がうっとりとなる。然し今日は落付いて身を任せては居られない。足早にトットと進んで行く。一の隆起を踰え、大きなガレの縁を辿り、小笹原を通って茅処の原に出た。これが今いうカワグルミ沢の頭であろう。

嵯峨塩へ下る道のある尾根の分岐点の所で、また迂闊にも滝沢の方へ出ている尾根に紛れ込み、途中でそれと気が付き、右に藪を掻き分けて小笹の繁った賽ノ河原の鞍部に出た時には三時半を過ぎていた。これから大菩薩峠へ出て日のある中に小菅又は萩原に下ろうなどとは思いも寄らないことなので、嵯峨塩へ行くことに極めて、引返して地図の点線の道を下り初めた。余り失錯を繰り返すので、今度は地図を手にして先に立って急いだ。あとの二人は話しながら悠々と来るらしい、次第に遅れる様子だ。一七四七米の隆起の横を廻る時、振り返ると二人の姿が見えない。