Japanische Klassiker mit Furigana
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はつたびのだいぼさつれんれい
初旅の大菩薩連嶺
木暮 理太郎
Lesen Sie 初旅の大菩薩連嶺 (はつたびのだいぼさつれんれい) von 木暮 理太郎 (こぐれりたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.508 Zeichen · 19 Bildschirme
空は隈なく晴れて陰暦十月十八日の月が照っている。真木では織物に名を得た郡内の地方だけに、電灯の光と共に梭の音の洩れて来る早起きの家もあった。やがて西奥山に通ずる道と岐れ、桑畑の間を辿って、間もなく小山の突き出している鼻を左に曲って行くと、橋を渡って真木川の右岸に移った。思いの外に岸も高く岩壁なども露出して、滝でもあるらしい水音が聞えた。こういう夜道をすると、いつも木下利玄の
夜さむ道向うにきこえそめしせゝらぎに歩みは近より音のところを通る
せゝらぎの音するところに来かゝりしがまた遠退きてわが夜道すも
というのが思い出される。道は追々と勾配を増すが、間明野を過ぎて桑西に至る迄は迷うようなことは滅多にない。極めて寒村らしく想像される沿道の部落も、見窄らしい住居は余り見受けなかった。養蚕が盛んで暮し向きに余裕のある為であろう。耕地も大部分は桑が植えてあるので、霜枯れた葉が人の跫音にも落ちてかさこそと音を立てる。
桑西に着いたのは夜明けに近い頃であった。人家を出離れて暫く行くと左に小坂を下りて、すぐ川を渡る道を取らなければならない筈の所を、真直ぐに進んでしまった。