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Japanische Klassiker mit Furigana

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ほうがんさぶろうのしょうたい

判官三郎の正体

野村 胡堂

Lesen Sie 判官三郎の正体 (ほうがんさぶろうのしょうたい) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.587 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

五人が一とかたまりになって、階子段を稲妻の様に飛降りて、男爵の書斎へ入って行くと、大金庫の扉は八文字に開いたまま、中の抽斗しは、滅茶滅茶にかき乱されたらしく、忙しく開けて見る男爵の手に従って、惨憺たる有様が一と目にわかります。

「宝石は?」

「大丈夫だ」

「有価証券?」

「何んともなって居ない」

「現金?」

「みんなある」

英子と本藤の問に答えて、男爵の手はそれからそれと忙しく動きます。

「では、若しかしたら、……設計図?」

「そうだ、一番大事なものが無くなって居る」

振り返った男爵の顔は、血の気もなく真っ蒼に歪んで居りました。

「お父様、では矢張り……」

「これは尋常一様の泥棒ではない、深山君、御覧の通りだ、君が苦心をして発明した、あの世界を驚倒させるだろうと言われた、新式内燃機関の設計図が盗まれてしまった」

「――――」

恐ろしい深い沈黙が、一座を支配しました。男爵の次の言葉を待つように、互に顔を見合せて、異常な緊張に任せて居ります。

「あの設計図は、とうに君に返さなければならないものであった。が、会社で君から買収する意向があったので、幾度も君から請求され乍ら、心ならずも止めて置いた――」