Japanische Klassiker mit Furigana
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ほうがんさぶろうのしょうたい
判官三郎の正体
野村 胡堂
Lesen Sie 判官三郎の正体 (ほうがんさぶろうのしょうたい) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.587 Zeichen · 25 Bildschirme
「どうもすみません……」
感心に話が耳に入ったかして、例の外国語の本を伏せて、若い教授は顔を起しました、
「だけれども、あなたのお国って、あんなところでしょうか、私共とは、人情風俗がまるっきり違うんですもの」
美しい姫の口吻には、未だ苦い語気が残って居ります。
「何しろ、山の中で猿や熊と一緒に育った娘ですから、都会人の礼儀や作法を心得て居るわけはありません。その代り、正直で無邪気で、都会人のように、ウソを言う事も知らないのです」
「あの上嘘を言ったら、どんな事になるでしょう」
「…………」
ちぐはぐな心持、そぐわない空気、一座は又白け渡りました。
気まずい沈黙を破って、廊下を遽しい足音。
「殿様、タ大変で御座います」
「何?」
「なんだ」
総立になって客間へ転げこんだのは、日頃沈着そのもののような顔をして居る、家扶の本藤です。息せき切って、
「何時の間にやら金庫の扉が開いて、中は滅茶滅茶にかき廻されて居ります」
「アッ」
唐船男爵もさすがに顔色を失って、立ちすくみました。富と権勢とを誇る男爵家の金庫ですから、中に何があったかわかりませんが、兎に角、仏蘭西製のコーヒー茶碗をこわしたような小さい問題ではありません。