Japanische Klassiker mit Furigana
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わかれたるつまにおくるてがみ
別れたる妻に送る手紙
近松 秋江
Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme
」
「でもあなた言って下さい。」
「じゃ宮とでも何とでも。」
「……私書けない。」
「書けないことはなかろう、書いてごらん。」
「あなた神経質ねえ。私そんな神経質の人嫌い!」
「…………。」
「分っているから、……あなたのお考えは。あなた私に字を書かして見て何うするつもりか、ちゃんと分っているわ。ですから、後で手紙を上げますよ。あゝ私あなたに済まないことをしたの。名刺を貰ったのを、つい無くして了った。けれど住所はちゃんと憶えています。……××区××町××番地雪岡京太郎というんでしょう。」
斯様なことを言った。私に字を書かして見て何うするつもりかあなたの心は分っています、なんて自惚も強い女だった。
その晩、待合の湯に入った。「お前、前入っておいで。」と言って置いて可い加減な時分に後から行った。緋縮緬の長い蹴出しであった。
尚お他の室に行ってから、
「宮ちゃん、お前斯ういう処へ来る前に何処か嫁いていたことでもあるの?」
と、具合よく聞いて見た。
「えゝ、一度行っていたことがあるの。」と問いに応ずるように返事をした。
日毎、夜毎に種々な男に会う女と知りながら、また何れ前世のあることとは察していながら、私は自分で勝手に尋ねて置いて、それに就いてした返事を聞いて少し嫉ましくなって来た。