Japanische Klassiker mit Furigana
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わかれたるつまにおくるてがみ
別れたる妻に送る手紙
近松 秋江
Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme
いよいよ別れて了えば私は明日の日から自分で食うことを考えねばならぬ。……それを思えば、あなたは独身になれば、何うしようと、足纏いがなくなって結句気楽じゃありませんか。そうしている内にあなたはまた好きな奥さんなり、女なりありますよ。兎に角今日中に何処か下宿へ行って下さい。そうでなければ私が柳町の人達に何とも言いようがないから。」
と言って催促するから、私は探しに行った。
二百十日の蒸暑い風が口の中までジャリ/\するように砂塵埃を吹き捲って夏劣けのした身体は、唯歩くのさえ怠儀であった。矢来に一処あったが、私は、主婦を案内に空間を見たけれど、仮令何様な暮しをしようとも、これまで六年も七年も下宿屋の飯は食べないで来ているのに、これからまた以前の下宿生活に戻るのかと思ったら、私は、其の座敷の、夏季の間に裏返したらしい畳のモジャ/\を見て今更に自分の身が浅間しくなった。それで、
「多分明日から来るかも知れぬから。」
と言って帰りは帰ったが、どう思うても急に他へは行きたくなかった。というのは強ちお前のお母さんの住んでいる家――お前の傍を去りたくなかったというのではない。