Japanische Klassiker mit Furigana
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わかれたるつまにおくるてがみ
別れたる妻に送る手紙
近松 秋江
Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme
それよりも斯うしていて自然に、心が変って行く日が来るまでは身体を動かすのが怠儀であったのだ。加之銭だって差当り入るだけ無いじゃないか。帰って来て、
「どうも可い宿はない。」というと、
「急にそう思うような宿は何うせ見付からない。松林館に行ったら屹度あるかも知れぬ。彼処ならば知った宿だから可い。今晩一緒に行って見ましょう。」
と言って、二人で聞きに行った。けれども其処には何様な室もなかった。其の途中で歩きながら私は最後に本気になって種々と言って見たけれど、お前は、
「そりゃ、あの時分はあの時分のことだ。……私は先の時分にも四年も貧乏の苦労して、またあなたで七年も貧乏の苦労をした。私も最早貧乏には本当に飽き/\した。……仮令月給の仕事があったって私は、文学者は嫌い。文学者なんて偉い人は私風情にはもったいない。私もよもやに引されて、今にあなたが良くなるだろう、今に良くなるだろうと思っていても、何時まで経ってもよくならないのだもの。それにあなたぐらい猫の眼のように心の変る人は無い。一生当てにならない……。」
斯う言った。そりゃ私も自分でも、そう偉い人間だとは思っていないけれども、お前に斯う言われて見れば、丁度色の黒い女が、お前は色が黒い、と言って一口にへこまされたような気がした。