Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わかれたるつまにおくるてがみ

別れたる妻に送る手紙

近松 秋江

Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme

Aozora Bunko

これは此の六月の初めに、遂々話が着いて、彼女が彼の女中の心配までして置いて、あの関口台町から此家へ帰って来る時分に、彼家の庭によく育っていたのを、

「あなた、あのコスモスを少し持って行きますよ。自家の庭に植えるんですから。」と、それでも楽しそうに言って、箪笥や蒲団の包みと一緒に荷車に載せて持って戻ったのだが、誰れが植えたか、投げ植えるようにしてあるのが、今時分になって、漸う/\数えるほどの花が白く開いている。

あゝ、そう思えば、あの戸袋の下の、壁際にある秋海棠も、あの時持って来たのであった。先達て中始終秋雨の降り朽ちているのに、後から後からと蕾を付けて、根好く咲いているな、と思って、折々眼に付く度に、そう思っていたが、其れは既う咲き止んだ。

六月、七月、八月、九月、十月、十一月と、丁度半歳になる。あの後、何うも不自由で仕方が無い。夏は何うせ東京には居られないのだから、旅行をするまでと、言って、また後を追うて此家に暫時一緒になって、それから、七月の十八日であった。いよ/\箱根に二月ばかし行く。それが最後の別れだ、と言って、立つ前の日の朝、一緒に出て、二人の白単衣を買った。