Japanische Klassiker mit Furigana
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わかれたるつまにおくるてがみ
別れたる妻に送る手紙
近松 秋江
Lesen Sie 別れたる妻に送る手紙 (わかれたるつまにおくるてがみ) von 近松 秋江 (ちかまつしゅうこう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.985 Zeichen · 103 Bildschirme
そうして独りでつくねんとして御飯を食べているのだと思って来るとむら/\と逆上げて来て果ては、膳も茶碗も霞んで了う。
寝床だって暫時は起きたまゝで放って置く。床を畳む元気もないじゃないか。枕当の汚れたのだって、私が一々口を利いて何とかせねばならぬ。
秋になってから始終雨が降り続いた。あの古い家のことだから二所も三所も雨が漏って、其処ら中にバケツや盥を並べる。家賃はそれでも、十日ぐらい遅れることがあっても払ったが、幾許直してくれと言って催促してもなか/\職人を寄越さない。寒いから障子を入れようと思えば、どれも破れている。それでも入れようと思って種々にして見たが、建て付けが悪くなって何れ一つ満足なのが無い。
私はもう「えゝ何うなりとなれ!」と、パタリ/\雨滴の落ちる音を聞きながら、障子もしめない座敷に静として、何を為ようでもなく、何を考えようでもなく、四時間も五時間も唯呆然となって坐ったなり日を暮すことがあった。
何日であったか寝床を出て鉢前の処の雨戸を繰ると、あの真正面に北を受けた縁側に落葉交りの雨が顔をも出されないほど吹付けている。それでも私は寝巻の濡れるのをも忘れて、其処に立ったまゝ凝乎と、向の方を眺めると、雨の中に遠くに久世山の高台が見える。