Japanische Klassiker mit Furigana
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べっぷおんせん
別府温泉
高浜 虚子
Lesen Sie 別府温泉 (べっぷおんせん) von 高浜 虚子 (たかはまきょし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.339 Zeichen · 27 Bildschirme
一
一
道路のアスファルトがやわらかくなって靴のあとがつくという灼熱の神戸市中から、埠頭に出て、舷梯をよじて、紅丸に乗ると、忽ち風が涼しい。
ここから神戸市中を振り返って見ると、今まで暑さにあえいでおった土地も、涼しげな画中の景となって現れて来る。そうしてその神戸埠頭が今はもう視界から去ってしまう頃になると、左舷には淡路島が近より、右舷には舞子、明石の浜が手に取る如く見えて来る。私は甲板の腰掛に腰を下して海風の衣袂を翻すに任している。
先に帆襖を作って殆ど明石海峡をふさいでいるかと思われた白帆も、近よって見るとかしこに一帆ここに一帆という風に、汪洋たる大海原の中に真帆を風にはらませて浮んでいるに過ぎない。
それに引かえて往きかう蒸汽船の夥しきことよ。鉄甲板の荷物船が思いきり荷物を積んで、深く船体を波に沈めて、黒煙を吐いて重そうに進んでいるのもすでに三、四艘ならず追い越した。軽快な客船も、わが船の十三ノットというにはかなわないで暫く併行して進んでいるうちに遂にあとになる。向うから来る汽船はすれ違ったと思ううちにもう見えなくなる。すべてこれ等の汽船は坦々たる道路の如くこの海原を航行しているのである。