Japanische Klassiker mit Furigana
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べっぷおんせん
別府温泉
高浜 虚子
Lesen Sie 別府温泉 (べっぷおんせん) von 高浜 虚子 (たかはまきょし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.339 Zeichen · 27 Bildschirme
それは裸のままで、腰にタオルをまいて、今湯から上ったところであろう、草臥れてぐったりしたようすで、そこの縁に腰をかけて、後ろの羽目板にもたれかかっているところであった。そうして手に水蜜桃を持って、じっとその上に目を落しているところであった。この女は西洋絵で見たことのある裸体の女がぬけ出して来たのかと思われた。が、しかしそんなハイカラな女ではなく、この別府の温泉にふさわしい野趣のある一人の女であった。私はその後別府の町の温泉を思うと、この女を思わずにはおられなかった。
こんど別府に来て案内記を読んで見ると別府の町の温泉は宏壮なる建築だと書いてある。その桃の女がいた温泉は板で囲った古い温泉であったように思う。もしかするとその板で囲った温泉は取り毀わされて、それが宏壮な温泉に変っているのかも知れない。
地獄を案内してくれた日名子氏が今夜又町の温泉に案内してやろうとのことであった。
もう九時まで待ったが日名子氏は来なかった。私は寝床に入ろうと思った。新らしい町の温泉に桃の女はもういないにきまっているから。
別府の町は今日から祭礼である。きのうまでは宿のすぐ下の家で祭囃しの練習に余念もなかった。