Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅういちやぎさぶろうをかたる
十一谷義三郎を語る
豊島 与志雄
Lesen Sie 十一谷義三郎を語る (じゅういちやぎさぶろうをかたる) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.959 Zeichen · 10 Bildschirme
然るに三月半ばから、喉や腸に故障が起ったらしく、四月初めに私は見舞うことを予報していたところ、四月一日夕刻から急に容態あしく、二日の午前十時半、夫人に守られながら事切れてしまった。日暮にかけつけた私は、夫人に対して一言の言葉も出なかった。死顔はキリストに似ていて、あの独特なへんに人なつっこい若々しい笑みは底に潜んでいた。
火葬に付した時、頭蓋骨が仄白く原形のまま目立っていた。骨上げの老婆は「頭の丈夫なお方でしたな。」と云いながら、骨壺の中に他の遺骨を納めた上から、大きな白い頭蓋骨をすっぽりとかぶせた。――その丈夫な頭の中に宿っていたところの、掏摸で俳人で墓石の研究者たる大江丸旧竹の生涯も、材料は揃っていながら書かれずに終ったし、病床でノートに書きつけていた自叙伝的随筆も、数頁だけで終ってしまった。
遺族は春子夫人と四歳の町子さん。戒名は清藤院義徳良元居士。墓地は神戸。告別式が終ってまだ間もない今日、故人のことを偲べば、いろいろ感懐のみ多くて言葉足りない。