Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅういちやぎさぶろうをかたる
十一谷義三郎を語る
豊島 与志雄
Lesen Sie 十一谷義三郎を語る (じゅういちやぎさぶろうをかたる) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.959 Zeichen · 10 Bildschirme
であった。三十九度もある発熱のなかで、解熱剤をのみのみ、六月の暑い日に、障子をしめきり布団の上に起き上って、あの洗練さと精緻さとをくずさずに毎日書き続けた精進は、見る者に涙を催させるものがあった。当時の主治医は病気を軽く見ていたようだが、レントゲン写真に依ると、既に右肺の大半と左肺も点々と結核に犯されていた。十一谷君は回復を確信していたが、入院生活ではその確信がもてないと云って、自宅療養を続けた。
昨年の末、逗子から秋谷に移転した当時、十一谷君の確信は実現しそうな様子だったそうである。丘の中腹にある瀟洒な家で、二階には小さなサンルームがついていて、其処から日の出が見られ、家の後方二間ばかりの坂を上ってゆくと、海に沈む日が見られた。私が訪れた時は、「何よりもただ太陽……太陽を信仰するのだ。」としみじみ語っていて、丁度夕刻になったので、夫人と三人で後ろの坂を上っていって、海に没する夕陽を雲の切れ目に眺めかつ拝んだ。
今年になって、私はいろいろな雑用に追われ、心ならずも見舞を怠っていた。夫人からは時々手紙をもらい、十一谷君自身からも一二度手紙をもらった。