Japanische Klassiker mit Furigana
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オチフルイかいじゅうろうてがらばなし
十二神貝十郎手柄話
国枝 史郎
Lesen Sie 十二神貝十郎手柄話 (オチフルイかいじゅうろうてがらばなし) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 127.035 Zeichen · 254 Bildschirme
征矢野家の客間は賑わっていた。大勢の客がいるのである。その中に貝十郎もいた。
「これはようこそおいでくださいました。ずっとお通りくださいますよう。主人も喜ぶでございましょう。皆様お集まりでございます」
宏大な征矢野家の表門まで、貝十郎が行きつくや否や、袴羽織の家人が出て来て、こう云って貝十郎を案内しようとした。
「いや、拙者は、何も当家に。……単にこの辺へ参ったもので……」
当惑して貝十郎はこう云ったが、家人は耳にも入れなかった。待っていた客を迎えるようにして、貝十郎を客間へ通した。
その客間には貝十郎よりも先に、大勢の客が集まっていたし、貝十郎の後から、幾人かの客が、招じられてはいって来た。
征矢野家の客間は賑わっていた。
(これまでのところ俺の負けだ)貝十郎はキョトンとした心で、むしろ憂欝と不安とを抱いて、柱へ背をもたせ座布団を敷き、出された酒肴へ手をつけようともせず、彼の左右で雑談している、人々の話をぼんやりと聞き、その合間にそんなことを思った。(これまでのところ俺の負けだ。何から何まで意表に出られる)
「ともかくも先代は人物でしたよ」
修験者らしい老人が、盃を口から離しながら、隣席の商人らしい男に云った。