Japanische Klassiker mit Furigana
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じゅうはちじのおんがくよく
十八時の音楽浴
海野 十三
Lesen Sie 十八時の音楽浴 (じゅうはちじのおんがくよく) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 103.941 Zeichen · 210 Bildschirme
6
博士コハクの身の上にそんなことが起ったとは夢にも知らぬ男学員ペンと女学員バラとだった。
二人はバラの私室で、しきりに悪どいふざけかたをしていた。しかしやがて二人の昂奮は大風に遭った霧のように跡形もなく消えてしまった。そして二人は別々にものうい倦怠の中に吐息している自分自身を見出した。
二人は別々に、なにがこう面白くないんだろうと考えた。
「ちかごろ、君はどうも冷淡にすぎるね」
とペンがバラに言った。
「だってそれはお互いさまだから、仕方がないわ」
バラは枕許のさすり人形を撫でまわしながらいった。さすり人形は、摩擦によって触感を楽しむ流行の人形だった。喫煙の楽しみを法令で禁ぜられた国民が、これに代る楽しき習癖として近頃発見したものだった。
「君はこの頃、僕が嫌いになったんじゃないか」
「さあ、どうだか。――とにかくわたしはちかごろいらいらしてならないの。どこがどうとハッキリわかっているわけではないけれど、近頃の生活は何だか身体のなかに、割り切れない残りかすが日一日と溜まってくるようで仕方がないわ。いまに精神的の尿毒症が発生するような気がしてならないのよ」