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Japanische Klassiker mit Furigana

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クルスかんのん

十字架観音

野村 胡堂

Lesen Sie 十字架観音 (クルスかんのん) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.655 Zeichen · 27 Bildschirme

Aozora Bunko

「それでも母は、死ぬまで申し暮しておりました。余吾之介様はお見かけは優しいが、お家中でも名誉のお腕前だから、キット悪人共に思い知らせて下さるに違いない――と」

「――――」

「最上のお家を取潰したのも、御先代が怪しい御最期を遂げられたのも、みんな山野辺右衛門様をはじめ、楯岡などの仕業に相違ない、お家の潰れるのも構わず公儀に楯をついて、高野山に登った方もあるが、江戸に踏みとどまって、日頃取込んだ不義の財で、栄耀の限りを尽しておる者も少くない。御父上松根備前様の思召を継いで、余吾之介様は屹度あの悪人共を退治して下さるであろう、乳母は冥土からそれを拝見いたします――とこう申しておりました、余吾之介様」

「――――」

余吾之介は驚きました。こんな色っぽい女の口から、最上家の悪人退治などいう飛んでもない大望を聞かされようとは、思いもよらなかったのです。

山形の城主最上源五朗義俊が所領を召上げられて、重臣を各大名に預けられたのは、元和八年七月十八日、この物語から丁度一年半ばかり前のことです。

最上家の没落は領主源五郎義俊が酒色に耽って政治を顧みなかったのも一つの原因ですが、その顛落に拍車を加えたのは、藩中の一部に山野辺右衛門大夫義忠の擁立運動があったためでした。